コラム
「内燃動機」を大切にする ネクストリード流キャリアデベロップメント Vol.1
こんにちは!事業企画グループの佐野です。
ネクストリード代表の小国はよく「内燃動機」という言葉を使います。
“内燃動機を大切に”
この考え方は、従業員のキャリア形成に関する意思を尊重するという形で組織運営に反映されています。
そこで今回は、キャリアコンサルタントと産業カウンセラーの資格を持ち、職場環境の健全性やキャリア形成といった観点で組織を考えることの多い立場から、ネクストリードとキャリアについてのコラムをお届けしたいと思います。
■ぶら下げられたニンジンか、自分で育てたニンジンか
はじめに、「内燃動機」とは何でしょうか?
世の中には人が行動を起こすメカニズムを研究した「動機付け理論」がいくつも存在します。これらの理論は、世界中の様々な現場で実践的に活用され、研究が重ねられています。
例えば、教育現場においては学ぶ意欲を向上させるために、医療現場では患者さんの治療への向き合い方を前向きに変えるアプローチに、企業・組織においては従業員の仕事に対するモチベーション管理に…と様々です。
1964年、アメリカの心理学者マーレイは著書の中で、動機付けには「内発的動機付け」と「外発的動機付け」の 2 種類があると論じ、その後同じく心理学者のデシやライアンらがその論を発展させました。
外発的動機付けは、簡単に言うと金銭や人事評価、他者からの承認といった外から与えられる対価によってモチベーションを誘発することです。「ニンジンを目の前にぶら下げる」などと表現することもあります。私たちは誰でも少なからず目の前のニンジンを追いかけている部分がありますが、同時にそれは社会をスムーズに回すためにある程度必要なこととも捉えられています。
一方の内発的動機付けは、興味・関心や好奇心・探求心、成長意欲など自身の内部から湧き上がるものを原動力とすることです。ニンジンをぶら下げられなくても、自分でニンジンを育てているようなイメージです。ネクストリードのように内燃動機を大切にするということは、言い換えると「内発的動機付け」に重点を置くということなのです。
■「内発的動機付け」のメリット
内発的動機付けは、組織運営の観点から考えたときにマネジメント側・従業員側双方にメリットがあります。前述したように「内部から湧き上がるものを原動力とする」ことで、以下のような状態を作り出すからです。
・やること自体に意義を感じるので仕事への意欲が高まりやすい
・自発的に行動を起こせる
・高い探求心が質の良い仕事につながる
・望んだ挑戦なので失敗しても納得できる
・再挑戦へのやる気や行動が持続しやすい など
「成長」に必要な要素を内側から生み出していると言えますよね。
自ずとパフォーマンスが上がり、高評価を得られ、組織の価値向上に寄与し、仕事が増えるという好循環を生み出すでしょう。その結果、より自律的で魅力的なキャリアを築きやすくなるのです。
■従業員の動機付けは組織の責務
ここまでを振り返ると、内発的動機付けは従業員の内燃動機を拠り所とした、従業員主体のことのように思えてきます。もちろんそうなのですが、従業員の動機付けは同時に組織にとっての責務でもあります。
前述のデシとライアンは自己決定理論を提唱し、内発的動機付けを高めるためには以下 3 つの心理的ニーズを満たすことが重要であるとしました。
・自律性(Autonomy): 自分を律し、自分で行動を選択しながら進められる感覚
・有能感(Competence): 自分には力があり、物事をやり遂げられると思う感覚
・関係性(Relatedness): 他者との良好な人間関係を築けている感覚
つまり、この 3 つを感じながら仕事ができる環境作りやマネジメントを行うことが、内発的動機付けを高める道筋です。従業員一人ひとりの「内燃動機」を知ることも重要であり、それを把握した上でのマネジメントは人材の成長スピードを上げるきっかけにもなるでしょう。人事面談や定期的な 1on1 などは一つの効果的な方法と言えます。会社規模や組織構成にもよりますが、人事部、上司、メンター、キャリアコンサルタントのような外部/内部専門職などがこの役割を担います。
■ネクストリードで築くユニークなキャリア
ネクストリードは設立 10 年未満のまだ新しく小さな会社です。
役割が明確に固定されているわけではなく、「手を伸ばす」の合言葉の下、様々な領域のプロフェッショナルが知恵を出し合って仕事をしてきました。
時に一人何役もこなす必要がありますが、未経験の領域に挑戦するチャンスもたくさんあります。その証として、IT 未経験の人も積極的に採用してきました。つまり、従業員の「内燃動機」を信じて刺激し、その力を伸ばすことを常に考えて組織運営を行ってきたのです。
それゆえ、入社後の大まかなキャリアパスが決められている従来型の日本企業の慣習を覆し、小回りの利く柔軟な組織の中で個々が力を発揮してきました。メンバー一人ひとりの社内での軌跡を振り返ると、ユニークなキャリアが形成されているような環境です。これが内燃動機を大切にマネジメントが行われてきた結果であり、小国がその駆動力の高さを知っていたために実現したものだと思っています。
ネクストリードは急成長の真っただ中。課題もありますが、さらに規模を拡大する予定です。それにともない従業員のキャリアに対するマネジメントも変化してくると思いますが、まずはネクストリードがこれまで行ってきた “内燃動機” に着目したマネジメントを紐解いてみました。
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次回は、「内燃動機はどこからやってくるのか」を考えてみたいと思います。
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